あいつぐ天災
夕方、テレビをつけたら母子3人の救出を中継していた。
じっと見ていた。釘付けになった。
一番小さい子が助け出されたあと、母親が担架に乗せられた。
長女はまだ見つかっていなかった。
母がヘリコプターで病院に運ばれていく。
しかし安否が分からない。
そのうちテレビ朝日が、「心肺停止状態」だと告げた。
他の番組ではまだ言っていなかった。
病院では父親が待機していた。
彼はテレビ朝日の番組を見ていなかっただろう。
母の両親や親戚はどうだったのか。
生きているという希望を胸に待つ家族。
その結果が最悪の場合であったとしても、
テレビの情報ではなく、その目で、その手で、現実を確かめたい、
僕ならそう思うだろう。
報道は視聴者のためにある?いや放送局のためにある。
より早くて正確な情報を放送するという使命は、視聴者のためのものではなく、
放送局の存在意味、存在証明のためにあるだけだ。
我々視聴者は、あの母の死を1時間後に、いや何時間後に知ろうとも
何も困りはしない。悲しみを感じることは出来ても、関係のない現実だ。
ド赤の他人の言葉、それも放送によって愛するものの死を知らされるなんて、
そんなことが僕にあったとしたら・・・。
テンション高く伝えるのも演出のひとつか・・・。
もちろん僕はそんな仕事をしているのだけれどね。
演出なら、クールに決めてくれ。