関電総会、橋本市長吼える!
日経ビジネス・オン・ライン12.6.28より。
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こちらにまとめました。
橋下市長が、何を質問したかを記録しておきます。
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この日、大阪市北区の梅田芸術劇場では、関西電力の株主総会も開かれた。
大飯原子力発電所の運転再開に向けた準備作業を進めている最中とあって、
4000人に迫る過去最多の株主が詰めかけた。
28の株主提案のうち13の議案を、大阪市と京都市、神戸市の3自治体が提案。
3市長はいずれも質問に立った。
なかでも、関電に脱原発を求めてきた橋下徹・大阪市長の発言に注目が集まった。
「そこの2階席左のバルコニーに座っている男性の方、どうぞ」。
総会を仕切る議長に促されたその男性が立ち上がると、会場はどよめいた。
「大阪市長の橋下です。関電はこのままではつぶれると危惧しています」
と切り出すと、「(関電は)衰退産業が歩んだ道を歩んでいます。
関電経営陣は経営上の将来リスクに関する株主への説明が不十分」と断じた。
関電は、原発事故を引き起こした東電とは事情が異なる。
自治体株主である大阪市の橋下市長は大飯原発の再稼働については
容認姿勢に転じたが、関電の経営陣と対峙するために「脱原発」を掲げてきた。
大飯以外の原発を稼働させるメドは立っておらず、
液化天然ガスや石油に依存した発電が増えれば、発電費用はそれだけかさむ。
一方で、電気料金の値上げに対する反発が国民の間で広がっている現状では、
価格転嫁も難しく、業績の圧迫要因として意識されやすくなっている。
自治体株主である大阪市の橋下市長が脱原発を訴えれば訴えるほど、
株式価値を引き上げたい一般の株主と利害がぶつかる点は、東電と似通った構図だ。
その橋下市長。初めて参加した株主総会では、
質問が1人3分までで打ち切られるということもあり、それぞれについて、
おなじみの語り口調で矢継ぎ早に具体的な質問内容を投げかけた。
使用済み核燃料については、
原発事業が成立するかどうかの根源的な問題と位置づけたうえで、
●再処理事業は今後も継続するのか。
●再処理事業が中止となるリスクについて考えているか。
●(使用済み燃料の)中間貯蔵施設は増設されると考えているか。
それはいつまでなのか。
●最終処分場はいつまでに作られると考えているか。
●(使用済み燃料に関する)将来リスクが見通せないなかで、
いつまで(関電の原発は)もつのか。リスクを説明してください
と詰め寄った。
将来の経営上のリスクについても、
●家庭用電力の自由化は2年後か。発送電分離は実現するのですか。
●(原発の稼働開始から)40年で廃炉にするルールは?
●新たな安全基準の議論がされているか。
●それによるコスト上昇分はいくらなのか。
●国は発電電力量に占める原子力依存度を15%にする方針を打ち出しています
(編集部注:政府部内でなお複数の選択肢を検討中)が、
関電としては(原発比率を)何%を想定しているのですか。
●2030年の時点で関電の原発依存度は何%なのですか。
●そして、原発は何基止まれば赤字になるのですか。
●政府のエネルギー政策が変わり、原発依存度をゼロにするとなったときに、
関電はどう対応するのか
とまくし立てた。これらに対し、
関電経営陣の回答は
現在の方針を踏襲するという形式的なものだった。
東電と関電の株主総会は、ともに公益企業という事業内容の特殊性もあって、
自治体株主と一般株主の利益が必ずしも合致せず、
自治体株主の意向が反映されにくいという
大きな「カベ」の存在を見せ付けた格好だ。
次の東京都知事を狙うとされる猪瀬氏と、
中央政界を視野に入れる橋下氏による連合は、
大株主としての立場から東電・関電を大胆な経営改革へと
突き動かしていく起動力になりうるのか、
両氏の政治的な野心に基づくパフォーマンスに終わってしまうのか。
株主総会は来年もやってくる。